110回看護師国家試験 午前問題106~120
次の文を読み午前問題106~108の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初妊婦)は、夫(32歳、会社員)と2人暮らし。身長は160cm、非妊時体重60kgである。妊娠8週の妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。嘔吐はないが、時々嘔気があると訴え、対処法について質問があった。
午前問題106 Aさんへの説明で適切なのはどれか。
1.「空腹を避けましょう」
2.「塩味を濃くしましょう」
3.「規則正しく3食摂りましょう」
4.「市販の調理済みの食品は控えましょう」
午前問題107 妊娠12週の妊婦健康診査の際、「つわりが少し楽になってきて、ついつい食べてしまいます。あまり太らない方がよいですよね」と話す。
Aさんの妊娠期間中の理想体重増加量の範囲について、下限と上限の組合せで正しいのはどれか。
1.7kg ――― 10 kg
2.7kg ――― 12 kg
3.9kg ――― 10 kg
4.9kg ――― 12 kg
午前問題108 Aさんは、妊娠34週4日の妊婦健康診査を受けた。Aさんの母は祖母の介護をしており、産後の支援を期待できない。妊婦健康診査後、「産後は夫と2人で子育てをしていきます。子育てのために何か利用できる制度はありますか」と相談があった。
産後、Aさんの夫が適用となる制度はどれか。
1.育児休業
2.育児時間
3.休日労働の制限
4.勤務時間の変更
次の文を読み午前問題109~111の問いに答えよ。
Aさん(29歳、初産婦)は、妊娠37週0日で2,780gの男児を正常分娩で出産した。出生後5分の児の状態は、心拍数150/分、四肢を屈曲させて啼泣している。顔面を清拭されると激しく啼泣し、全身はピンク色である。
午前問題109 このときの児のApgar〈アプガー〉スコアは何点か。
1.10点
2.8点
3.6点
4.4点
午前問題110 出生後1時間。児の状態は、直腸温37.0℃、呼吸数40/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(room air)、四肢冷感やチアノーゼを認めない。哺乳は開始していない。Aさんの経過は順調である。
このときの児への看護で適切なのはどれか。
1.ビタミンK2シロップを経口投与する。
2.風通しの良いところに児を寝かせる。
3.先天性代謝異常検査を行う。
4.早期母子接触を行う。
午前問題111 産褥4日。Aさんは血圧112/80mmHg、脈拍76/分、Hb 11.2g/dL、Ht 37.0%。子宮底を臍下4横指に硬く触れる。悪露は赤褐色で少量。凝血の混入や悪臭はない。乳房は緊満しており移行乳が分泌している。Aさんは「夜中も3時間ごとくらいに授乳をするためほとんど眠れていません」と話している。表情は穏やかである。
Aさんのアセスメントとして適切なのはどれか。
1.貧血である。
2.産後うつ病である。
3.子宮復古は順調である。
4.乳汁分泌が遅れている。
次の文を読み午前問題112~114の問いに答えよ。
Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害〈ADHD〉と診断された。
午前問題112 職場でAさんにみられる可能性が高い行動はどれか。
1.仕事中に突然意識を失って倒れる。
2.退勤時に戸締りの確認を繰り返す。
3.集中して仕事をすることができない。
4.状況にふさわしくない単語の発声を繰り返す。
午前問題113 診察後、Aさんの両親は「親としてどうしたら良かったのでしょうか、私たちの育て方に問題があったのでしょうか」と外来看護師に話した。
このときのAさんの両親への対応として適切なのはどれか。
1.「Aさんは育てにくいお子さんでしたね」
2.「職場の環境が悪かったことが原因です」
3.「ご両親の育て方が原因ではないと思いますよ」
4.「もっと早くAさんの問題に気が付けばよかったですね」
午前問題114 Aさんは予約した受診日を忘れてしまい、受診できないことが度々あった。Aさんは、これまで忘れないための工夫を何もしてこなかったと外来看護師に話した。
Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1.「ご家族に予定を管理してもらいましょう」
2.「忘れてしまった理由を考えてみましょう」
3.「予定を忘れたことで生じる不利益を整理してみましょう」
4.「今予約した次回の受診日をこの場で予定表に書き込みましょう」
次の文を読み午前問題115~117の問いに答えよ。
Aさん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、車椅子への移乗は部分介助、要介護2である。排泄はポータブルトイレを利用している。Aさんと妻はなるべく家で過ごしたいと考え、自宅での介護はすべて妻が行っている。長女(会社員)が県内に在住しているがAさんの介護はしていない。訪問看護を週1回利用するのみで、他のサービスは利用していない。最近、妻の腰痛が悪化し、妻から訪問看護師に「主治医から介護の負担を軽減するように言われました。でも夫は家から出たくないし、私も夫をどこかに預けるのは不安です。どうしたらよいでしょうか」と相談があった。
午前問題115 このときの訪問看護師が提案するAさんへのサービスで最も適切なのはどれか。
1.通所介護
2.訪問介護
3.短期入所生活介護
4.訪問リハビリテーション
午前問題116 サービス導入後1か月。今朝、妻から訪問看護師に「夫の身体が震えています。よだれを垂らして、目が合わないです」と連絡があった。訪問看護師が訪問すると、Aさんの震えは止まっており、Aさん自身は「何が起きていたのか覚えていない」と言う。訪問時の体温36.0℃、呼吸数18/分、脈拍82/分、血圧130/62mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%(room air)であった。妻によると、2日間排便がなく、尿量1,500mL/日、尿の性状は黄色透明とのことだった。
妻からの連絡時にAさんに起きていたと考えられる状態はどれか。
1.感 染
2.脱 水
3.便 秘
4.けいれん
午前問題117 Aさんは入院したが、状態が安定し入院後3日で退院することが決まった。長女が「父が退院したら、母の腰痛が心配なので、私が父のポータブルトイレへの移動を手伝いたいと思います。介助の方法を教えてください」と訪問看護師に相談があった。
訪問看護師が長女に指導するベッドからポータブルトイレへの移乗の介助方法で正しいのはどれか。
1.ポータブルトイレをAさんの麻痺側に設置する。
2.ベッドから立ち上がる際はAさんに前傾姿勢になってもらう。
3.Aさんの健側に立って介助する。
4.Aさんの向きを変えるときはズボンのウエスト部分を持つ。
次の文を読み午前問題118~120問いに答えよ。
A市に住むBさん(40歳、経産婦)は、妊娠20週0日である。夫(42歳、会社員)、長女のCちゃん(5歳)の3人暮らし。朝食を終えた午前8時、大規模災害が発生し、夫は倒壊した家屋に両下肢が挟まれ身動きがとれなくなった。一緒にいたBさんとCちゃんは無事だったが、慌てるBさんのそばでCちゃんは泣きながら座りこんでいた。午前10時、夫は救助隊に救出されたが、下肢の感覚はなくなっていた。病院に搬送された夫は、その日のうちに入院となった。
午前問題118 搬送直後の夫の血液検査データで、高値が予想されるのはどれか。2つ選べ。
1.カリウム
2.カルシウム
3.ヘモグロビン〈Hb〉
4.総コレステロール
5.クレアチンキナーゼ〈CK〉
午前問題119 被災当日にBさんはCちゃんとともに避難所に入所した。被災後1日、Bさんは巡回してきた看護師に「今妊娠20週目ですが、おなかが張ることがあります」と話した。
看護師が確認する項目で優先度が高いのはどれか。
1.下肢の浮腫の程度
2.食事の摂取状況
3.性器出血の有無
4.排泄状況
午前問題120 Bさんに異常は認められなかったが、Cちゃんも不安な表情でBさんの傍にいる姿をみて、看護師はBさんとCちゃんは福祉避難所への移動が必要ではないかと考えた。
福祉避難所への移動のために看護師が連携する者で適切なのはどれか。
1.精神科医
2.民生委員
3.A市の保健師
4.ボランティアの保育士