98回看護師国家試験 午前問題106~120
次の文を読み、午前問題106~108の問いに答えよ。
85歳の女性。6年前にアルツハイマー型認知症と診断され、自宅で生活していた。呼吸器疾患の既往はない。4日前から発熱し、肺炎と診断され入院した。
午前問題106 入院時の所見で最も可能性が高いのはどれか。
1.顔面に著明な浮腫
2.粗い断続性副雑音(水泡音)
3.高調性連続性副雑音(笛様音)
4.胸郭の前後径と左右径とがほぼ等しい。
午前問題107 入院後抗菌薬の点滴静脈内注射によって速やかに解熱した。その後、行動範囲も拡大したが、廊下で失禁していることが数回あった。トイレまで誘導すればスムーズに排尿があり尿量は確保されている。
尿失禁のタイプで最も考えられるのはどれか。
1.腹圧性尿失禁
2.切迫性尿失禁
3.溢流性尿失禁
4.機能性尿失禁
午前問題108 入院10日。夕方、患者はエレベーターの前に立っているところを発見された。どこに行きたいか尋ねると「帰らせていただきます。お世話になりました」という返事があった。
対応で最も適切なのはどれか。
1.「ベッドに戻りましょう」と説得する。
2.「転んだら危ないですよ」と車椅子に誘導する。
3.「しばらく散歩しましょう」と一緒に周囲を歩く。
4.「肺炎のため入院中でまだ帰宅できません」と説明する。
次の文を読み、午前問題109~111の問いに答えよ。
11歳の男児。両親との3人家族。マラソン大会の2週後から倦怠感と膝関節の痛みとを訴え来院した。血液検査の結果、白血球200,000/μl、Hb5.0g/dl、血小板3万/μlで、精査を目的として緊急入院した。
午前問題109 検査の結果、急性リンパ性白血病と診断された。
入院後の児への説明で適切なのはどれか。
1.便の観察のため排泄物を看護師に見せる。
2.プライバシー保護のため入浴は1人で行う。
3.体力をつけるため好きなものは何を食べてもよい。
4.入院生活に早く慣れるため病院内はどこに行ってもよい。
午前問題110 児は膝関節の痛みを常に訴えている。膝関節の腫脹と発赤とは認められない。
膝関節の痛みの原因で最も考えられるのはどれか。
1.成長痛
2.筋肉痛
3.膝関節の炎症
4.白血病細胞の増殖による骨の痛み
午前問題111 入院予定期間が1年となることから、特別支援学校(養護学校)に転校し院内学級で授業を受けることとなった。寛解導入療法によって寛解に入り、順調に治療が行われていた。抗癌薬の髄腔内注射を行った30分後、授業開始の時間となった。嘔気と嘔吐とはなく、バイタルサインも安定している。児は授業を受けることを希望している。
授業を受ける方法で適切なのはどれか。
1.院内学級へ歩いて行く。
2.院内学級へ車椅子で移動する。
3.ベッドに座って受ける。
4.ベッドに臥床したまま受ける。
次の文を読み、午前問題112~114の問いに答えよ。
4歳の男児。3、4日前から活気がなく、眼瞼と下腿の浮腫に母親が気付き来院した。血液検査の結果、総蛋白3.7g/dl、アルブミン2.1g/dl、総コレステロール365mg/dl、尿蛋白3.5g/日で、ネフローゼ症候群と診断され入院した。入院時、体重18.0kg。尿量300ml/日、尿素窒素12mg/dl。
午前問題112 入院時の食事で制限するのはどれか。
1.塩 分
2.糖 質
3.脂 質
4.蛋白質
午前問題113 入院6時間が経過した。排尿がみられないため下腹部超音波検査を実施したところ、膀胱内に尿はほとんど認められない。
この時点で注意すべき徴候はどれか。
1.徐 脈
2.不穏状態
3.顔面紅潮
4.血圧上昇
午前問題114 男児は尿蛋白(-)となり、その後の経過は順調でプレドニゾロン15mg/日の退院時処方を受け、退院することとなった。
退院に向けた説明で適切なのはどれか。
1.内服中は再発しない。
2.人ごみには行かない。
3.運動をしてはいけない。
4.予防接種の制限はない。
次の文を読み、午前問題115~117の問いに答えよ。
在胎40週5日で出生した新生児。出生時体重2,900g。アプガースコア1分後9点、5分後10点であった。分娩所要時間12時間30分、分娩時出血量は280g。母親は母乳育児を希望している。
午前問題115 母親の希望で、出生直後に新生児を母親の胸に直接抱かせた。
このときの新生児への効果でないのはどれか。
1.啼泣を増強させる。
2.体温低下を防止する。
3.母子の絆形成を促進する。
4.母親由来の正常細菌叢の定着を促進する。
午前問題116 出生後から母子同室となり、生後6時間から授乳を開始した。哺乳後、臥床させると淡黄色の水様性のものを少量嘔吐した。
新生児への処置で適切なのはどれか。
1.腹臥位にする。
2.排気を十分行う。
3.糖水を追加する。
4.人工乳を追加する。
午前問題117 生後5日。体重2,850g。体温37.2℃、呼吸数38/分、心拍数126/分。皮膚はやや黄色を呈し、総ビリルビン15mg/dl。哺乳力は良好である。
対応で適切なのはどれか。
1.光線療法を行う。
2.母子異室にする。
3.母乳哺育を継続する。
4.バイタルサインの観察回数を増やす。
次の文を読み、午前問題118~120の問いに答えよ。
39歳の男性。統合失調症。発症から20年が経過している。単身生活をしているが、以前から言語化が苦手で対人関係に疲れ、不安焦燥感が強くなると過飲食となり、生活に困難をきたすほど飲食代がかさみ入退院を繰り返す傾向があった。今回も同様の状態となったため患者本人の希望で開放病棟に入院した。
午前問題118 入院後、昼夜に限らず不安に対する訴えが多い。なぜ不安なのかと聞いても「不安なんです」と言って、たびたび頓用の抗不安薬を希望し服用している。患者の表情や口調からは不安な感じは受けない。勤務している複数のスタッフに同じ訴えを繰り返している。
対応で最も適切なのはどれか。
1.積極的に頓用薬の服用を促す。
2.不安の背景について患者と話し合う。
3.何が不安なのか言語化するように求める。
4.過剰な関わりを求めていると判断して関わらない。
午前問題119 患者は、絶えずコップを持って洗面所にいることが多い。また、自動販売機の前で清涼飲料水を飲んでいるのも観察され飲水過多傾向にあると思われた。
対応で優先されるのはどれか。
1.飲水をやめるように促す。
2.身体症状があれば経過を観察する。
3.起床時と就寝時との尿比重を計測する。
4.本人の飲水用コップをナースステーションで管理する。
午前問題120 入院後2週が経過した。不安は軽減しないが夜間は良く眠れている。身体的な訴えもない。入院時身長165cm、体重80kgであったが、今朝の排泄後の体重は85kgであった。
体重増加の原因はどれか。
1.活動性低下
2.慢性的な便秘
3.うっ血性心不全
4.常同的な過飲食