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112回看護師国家試験 午後問題91~105

次の文を読み午後問題91~93の問いに答えよ。

 Aさん(61歳、男性、会社員)はデスクワーク中心の仕事をしている。今朝、職場へ出勤したが、自分の机の位置や同僚の名前が分からない等の見当識障害があり、同僚に付き添われ救急外来を受診した。頭痛、嘔吐、めまいはない。
現病歴:4年前に2型糖尿病と診断され、経口糖尿病薬が開始された。1年前から受診を自己判断で中断している。
身体所見:身長 170 cm、体重 100 kg。体温 38.6 ℃、呼吸数 22/分、脈拍 112/分、整、血圧 108/64 mmHg。対光反射(+)、瞳孔不同(-)。歩行可能。右第1趾に発赤、腫脹、異臭がある。
検査所見:白血球 19,200/μL、血糖 904 mg/dL、Na 131 mEq/L、K 3.4 mEq/L、ヘモグロビンA1c<HbA1c> 9.2 %、アンモニア 49 μg/dL、CRP 22 mg/dL。動脈血液ガス分析 pH 7.32。血漿浸透圧 394 mOsm/L。尿ケトン体(±)。
 

午後問題91 Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
1.肝性脳症
2.小脳出血
3.ケトアシドーシス<DKA>
4.高浸透圧高血糖状態<HHS>
 

午後問題92 Aさんはインスリン療法、糖尿病足病変に対する抗菌薬治療で全身状態は改善した。退院へ向けて、看護師はAさんに食事指導をすることにした。
 Aさんに勧める1日の摂取カロリーで最も適切なのはどれか。
1.1,400 kcal
2.1,800 kcal
3.2,200 kcal
4.2,600 kcal
5.3,000 kcal
 

午後問題93 Aさんの糖尿病足病変の悪化を防ぐ目的で看護師が行う指導で正しいのはどれか。2つ選べ
1.「靴下を履きましょう」
2.「月に1回、足を観察してください」
3.「暖房器具に足を近づけないでください」
4.「足の傷は痛みが出てから受診してください」
5.「鶏眼<うおのめ>が出来た場合は自分で削ってください」
 

 
 
次の文を読み94~96の問いに答えよ。

 Aさん(53歳、女性)は休日に公園を散歩中、階段から落ちて頭部を強打し、意識を消失した状態で病院に救急搬送された。病院到着時のAさんは開眼せず、声は発しているが理解不能である。痛み刺激には逃れようとする動作がみられる。
 

午後問題94 グラスゴー・コーマ・スケール<GCS>によるAさんの意識レベルの評価はどれか。
1.E1V1M2
2.E1V2M4
3.E2V2M2
4.E4V5M5
 

午後問題95 Aさんは右側の急性硬膜外血腫と診断され、緊急開頭手術を受けることになった。術前のバイタルサインは、体温 37.2 ℃、呼吸数 14/分、脈拍 74/分、整。血圧は、搬送時の 134/84 mmHg から 174/66 mmHg に上昇し、痛み刺激に対する反応が消失している。
 このときのAさんの瞳孔の状態はどれか。



午後問題96 開頭手術後2日、Aさんの全身状態は良好で、硬膜外ドレーンの排液も異常所見はなく経過している。看護師が訪室するとAさんは仰臥位で開眼し、「目が覚めたら病院にいて手術も終えていたので驚きました。今は気分もよいが、寝てばかりで背中が痛くなってきたので体勢を変えたい」と話す。
 看護師の対応で適切なのはどれか。
1.仰臥位を保持する。
2.頭側を30度挙上する。
3.頭側を60度挙上する。
4.頭側を90度挙上する。
 
 


次の文を読み午後問題97~99の問いに答えよ。

 Aさん(75歳、男性)は1人暮らしで、妻とは5年前に死別し、子どもはいない。57歳のときに慢性閉塞性肺疾患<COPD>と診断された。他に既往はない。20歳から喫煙していたが、今は禁煙している。エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、家事動作時に息苦しさが出現することもあったが、日常生活動作<ADL>は自立していた。妻が亡くなってからは食事が不規則になり、インスタント食品ばかり食べていた。入浴はせず、週に1回シャワーを浴びていた。
 1週前から日常生活動作<ADL>でも息苦しさが増強し、食欲がなく、ほとんど食事をしていなかったが、ジュースを 500 mL/日は飲んでいた。昨日の夕方に 37.8 ℃の発熱があったため、本日かかりつけの病院を受診した。
受診時の身体所見:体温 37.6 ℃、呼吸数 24/分、脈拍 94/分、整、血圧 138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>82 %(room air)。
動脈血液ガス分析(room air):動脈血酸素分圧<PaO2>45 Torr、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>58 Torr。
検査所見:赤血球 420 万/μL、Hb 10.3 g/dL、白血球 9,500/μL、総蛋白 5.8 g/dL、アルブミン 3.4 g/dL、空腹時血糖 98 mg/dL、CRP 10.1 mg/dL。
 医師の診察の結果、Aさんは慢性閉塞性肺疾患<COPD>の急性増悪と診断された。
 

午後問題97 このときのAさんの状態はどれか。
1.うつ熱
2.高血圧
3.呼気の延長
4.皮膚の搔痒感


午後問題98 Aさんは入院し、抗菌薬の点滴静脈内注射と酸素投与が開始された。病棟内の歩行の許可が出て、食事も全粥食を半分程度は食べることができた。
 Aさんに起こりうる症状で最も注意が必要なのはどれか。
1.貧 血
2.便 秘
3.高血糖
4.CO2ナルコーシス
 

午後問題99 Aさんは順調に回復したため、退院が決まった。退院後の慢性閉塞性肺疾患<COPD>の治療は、在宅酸素療法<HOT>は導入せずに薬物療法を継続することになった。Aさんは、看護師に「退院後も自宅で生活したい」と話している。近隣に家事を手伝ってくれる親戚や友人はいない。
 Aさんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。2つ選べ
1.肺炎球菌ワクチンの接種を勧める。
2.水分を制限するよう指導する。
3.糖分を制限するよう指導する。
4.配食サービスの利用を勧める。
5.毎日の散歩を勧める。
 

 


次の文を読み100~102の問いに答えよ。

 A君(5歳)は父親(40歳)、母親(38歳)と兄(10歳)の4人家族である。A君は生後6か月のときに白血病と診断され化学療法で寛解し、退院後は幼稚園に登園していた。4歳になって再発し、兄を骨髄ドナーとした造血幹細胞移植を受けた。
 

午後問題100 A君が利用できる制度はどれか。
1.自立支援医療
2.指定難病の医療費助成
3.未熟児養育医療の給付
4.小児慢性特定疾病医療費助成
 

午後問題101 A君の造血幹細胞移植は無事に終了したが、終了後6か月で2度目の再発をし、化学療法が行われたが寛解しなかった。医師から両親にA君が終末期にあること、余命2か月程度であることが伝えられた。両親は「2度目の再発と聞いて覚悟をしていた。延命するための治療はしなくてよいと考えています。在宅療養に切り替えてAと家で過ごしたいが、できることと、できないことを教えてほしいです」と話した。
 両親への看護師の返答で適切なのはどれか。2つ選べ
1.「遊園地には行けません」
2.「幼稚園に登園できます」
3.「食べ物の制限はありません」
4.「痛みが出た場合、自宅では痛みを和らげる治療はできません」
5.「感染対策のため、お兄ちゃんとの接触をできるだけ制限してください」
 

午後問題102 数日後、両親から「Aが亡くなることをAの兄にどのように説明したらよいでしょうか。私たちでは、うまく説明できません」と相談があった。
 看護師の両親への対応で適切なのはどれか。
1.「お兄ちゃんが病状を尋ねてくるのを待ちましょう」
2.「頑張っているA君のために、お兄ちゃんには治ると説明しましょう」
3.「看護師も同席してお兄ちゃんに説明する機会を設けることができます」
4.「ドナーになったお兄ちゃんががっかりするので説明しないでおきましょう」
 

 


次の文を読み午後問題103~105の問いに答えよ。

 A君(11歳)は両親と3人で暮らしている。5歳で気管支喘息と診断され、現在は抗アレルギー薬とステロイドの吸入薬が処方されている。本日、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親と救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。受診時のバイタルサインは、体温 36.9 ℃、呼吸数 32/分、心拍数 120/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>92 %(room air)であった。
 

午後問題103 A君の気管支喘息の発作強度はどれか。
1.小発作
2.中発作
3.大発作
4.呼吸不全
 

午後問題104 救急外来で、吸入と点滴静脈内注射が行われA君の症状は軽快した。A君は、医師や看護師による問診には素直に答えているが、心配する母親には「病院に来るほどじゃないんだよ。入院はしないからな」と発言し、反抗的な態度をとっている。
 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1.A君に発言の理由を尋ねる。
2.A君ではなく母親から病状を聴取する。
3.母親への態度は問題行動であるとA君に忠告する。
4.親子関係に問題があるのではないかと母親に伝える。
 

午後問題105 A君は1年前から気管支喘息の急性増悪<発作>を起こして救急外来の受診を繰り返していることが分かった。看護師がA君に今の症状に対する認識を確認すると「喘息発作が起きていて、家で吸入をしても治まらなかった」と答えた。学校生活や服薬については「学校は好きだけど、体育は嫌だな。吸入が面倒くさい。吸入しなくても発作が起きなければいいんでしょ」と話した。看護師は、急性増悪<発作>を繰り返しているA君のセルフケアへの支援をする必要があると考えた。
 A君への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.毎日運動するよう勧める。
2.お薬手帳を持ち歩くよう伝える。
3.A君と服薬管理について話し合う。
4.喘息発作があったことを母親から担任の先生に伝えるよう提案する。

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