86回看護師国家試験 午後問題1~15
次の文を読み午後問題1~3に答えよ。
67歳の女性。元教師。夫と二人暮らしであったが3か月前から長男夫婦と同居している。パーキンソン病で5年前からL-ドーパを服用している。上下肢の振戦、小きざみ歩行および無動は続いていた。3週前から「夫と嫁は関係がある。」、「人が私を埋めるための穴を掘っている。」等の妄想が出現し入院した。入院後、薬物の調整とリハビリテーションが行われた。患者は夫の面会日には朝から化粧をして待っているが、夫は「介護に疲れた。」と言っている。
午後問題1 入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
1.パーキンソン病の悪化
2.抗パーキンソン病薬の副作用
3.環境変化による不適応
4.知能の低下
午後問題2 リハビリテーション看護で適切なのはどれか。
1.主にベッド上での運動を勧める。
2.書字練習は避ける。
3.歩行時、杖の使用を勧める。
4.化粧については無関心を装う。
午後問題3 被害妄想の言動もみられなくなり、退院の許可が出された。
家族への指導として適切なのはどれか。
1.散歩は控えるように助言する。
2.夫と二人で生活するように助言する。
3.間違った言動はそのつど正すように勧める。
4.ショートステイの利用方法を説明する。
次の文を読み午後問題4~6に答えよ。
58歳の男性。自営業。10年前に健康診断で心雑音を指摘されたが、仕事が忙しく、自覚症状もないため精密検査を受けていなかった。半年前から息切れがするようになった。1週前に風邪をひき、息苦しさが増強したため受診した。僧帽弁狭窄症、心房細動および心不全と診断され入院した。体温36.2℃。脈拍数130/分、不整。呼吸数28/分。血圧104/65mmHg、動脈血酸素分圧(PaO2)60mmHg、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)35mmHg。下肢に浮腫があり、口唇に軽度チアノーゼがみられる。
午後問題4 入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
1.体外式ペースメーカーの装着が必要な状態である。
2.中心静脈圧(CVP)は低下しやすい。
3.起座呼吸になりやすい。
4.起立性低血圧を起こしやすい。
午後問題5 入院時の看護で適切なのはどれか。
a.水分の出納バランスに注意する。
b.脈拍と心拍との同時測定を行う。
c.血圧の上昇に注意する。
d.ベッド上での絶対安静の維持を説明する。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題6 強心薬、利尿薬の与薬により。NYHA心臓機能分類Ⅰ度にまで回復した。
退院後の生活指導で適切なのはどれか。
a.感染症は心不全の急性増悪因子となる。
b.自覚症状がなければ利尿薬の使用は自己管理とする。
c.運動をして心臓の予備能力を高める。
d.仕事について家族を含め相談する。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題7~9に答えよ。
47歳の男性。5年前に肝硬変と診断され、これまでに2回入院している。今朝、約1,000ml吐血して緊急入院した。体温36.0℃。脈拍数112/分。呼吸数28/分。血圧86/52mmHg。顔色不良で冷汗がある。意識は清明で不安気な表情である。赤血球290万/mm3、Hb9.0g/dl。血清総ビリルビン3.5mg/dl、血清アンモニア150mg/dl。
午後問題7 入院時のアセスメントで適切でないのはどれか。
1.食道静脈瘤の破裂が考えられる。
2.致命的出血になる可能性が高い。
3.昏睡に陥る可能性がある。
4.閉塞性黄疸が考えられる。
午後問題8 処置の準備で優先度が低いのはどれか。
1.肝生検
2.酸素吸入
3.ゼングスターケン ブレイクモア(S-B)管の挿入
4.血管確保
午後問題9 入院後の情報で優先度が低いのはどれか。
1.1時間尿量の減少
2.腸蠕動の亢進
3.脈拍数の上昇
4.血圧の上昇
次の文を読み午後問題10~12に答えよ。
35歳の男性。会社員。5年前から高血圧を指摘されていたが、そのままにしていた。今回、風邪をひいた後から全身倦怠感、嘔気・嘔吐、頭痛、呼吸困難、乏尿および浮腫が出現して慢性腎不全と診断され緊急入院した。体重60.0kg。血圧178/108mmHg。Hb5.0g/dl。血清尿素窒素72mg/dl、血清クレアチニン9.0mg/dl。血清カリウム6.8mEq/L。翌日、血液透析のため内シャント造設を行う予定となり、病状、透析の必要性および内シャント造設術に関する説明が行われた。患者はこれらの説明を理解し同意したが、将来について不安な強い。
午後問題10 入院時のアセスメントで適切でないのはどれか。
1.貧血状態が考えられる。
2.慢性腎不全の代償期と考えられる。
3.高窒素血症が考えられる。
4.急性肺うっ血の状態が考えられる。
午後問題11 透析導入前の看護で適切でないのはどれか。
1.採血は利き腕の方で行う。
2.透析を受けながら社会復帰している人と話す機会をつくる。
3.頭痛や嘔気は透析を開始すればすぐに軽減すると説明する。
4.社会復帰後はスポーツや旅行も可能であると説明する。
午後問題12 透析開始後の食事療法で適切なのはどれか。
a.塩分の摂取量は5g/日とする。
b.タンパク質の摂取量は50g/日とする。
c.エネルギー量は1,200kcal/日とする。
d.1日の飲水量は前日の尿量に100ml加えた量とする。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題13~15に答えよ。
27歳の女性。夫と3歳の娘との三人暮らし。2週前から全身倦怠感があり、3日前から39℃前後の発熱、歯肉の腫脹および両大腿部の皮下出血がみられ入院した。体温38.6℃。脈拍数 98/分。白血球 51,800/mm3、赤血球 286万/mm3、Hb8.0g/dl、血小板14,000/mm3、フィブリノゲン450mg/dl、CRP0.5mg/dl。急性骨髄性白血病と診断され、寛解導入療法が開始された。
午後問題13 入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
a.歯肉部に白血病細胞の浸潤が考えられる。
b.細菌感染の合併が考えられる。
c.鉄欠乏性貧血が考えられる。
d.溶血性尿毒症症候群が考えられる。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題14 入院中の看護で適切なのはどれか。
a.下肢のマッサージを行う。
b.果物を勧める。
c.排便時には努責しないように説明する。
d.ポピドンヨード含嗽液でうがいをするように説明する。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題15 寛解導入療法中の看護で適切でないのはどれか。
1.子どもの面会は制限することを説明する。
2.月経時にはタンポンの使用を勧める。
3.血圧測定はすばやく行う。
4.排便後は肛門部を洗浄するよう説明する。