89回看護師国家試験 午後問題1~15
次の文を読み午後問題1~3に答えよ。
65歳の男性。2人の子どもは結婚して別居し、妻と2人暮らし。肺気腫の急性憎悪で入院し、1週後に退院予定である。現在、酸素を1L/分で24時間吸入している。医師から自宅でも酸素療法が必要であると説明を受けた。病院には訪問看護室があり、退院後に訪問看護を受けることになった。妻に「早く家に帰りたいが酸素が手放せなくなったらどうしよう」と訴えている。自宅は病院から車で30分の所にある。エレベーターがあるマンションの5階に住んでいる。
午後問題1 退院前に、病院の訪問看護婦が患者と妻とに確認する情報で優先度が高いのはどれか。
1.酸素供給装置の設置場所の状況
2.援助者の有無
3.妻の健康状態
4.酸素療法に対する不安
午後問題2 訪問看護婦が医師と病棟の看護婦から収集する患者の情報で優先度が低いのはどれか。
1.疾病についての理解度
2.気分転換の方法
3.緊急時の連絡体制
4.身体障害者福祉法の適用の有無
午後問題3 訪問看護婦が患者と妻とに行う退院に向けての指導で優先度が低いのはどれか。
1.酸素供給量の調節
2.吸引器の準備
3.入浴時の酸素吸入方法の指導
4.外出時の携帯用酸素装置の準備
次の文を読み午後問題4~6に答えよ。
68歳の男性。身長170cm。体重75kg。妻との2人暮らし。3か月前に脳梗塞で倒れ、左半身麻痺が残っている。入院中は機能訓練をし、退院時には車椅子とベッドとの間の介助移動が可能になっていた。退院後は機能訓練も行わず、ベッド上での坐位生活を送って1か月になる。妻の依頼で、訪問看護ステーションから訪問看護が開始されることになった。看護婦が訪問し挨拶すると、目を見つめ姿勢を正して「よろしく」と頭を下げた。妻は「退院後はリハビリをあまりやろうとしないし、情なくて。どうしてもリハビリをやって元の身体に戻ってほしいんです。私ではダメなんです。」という。妻は最近腰痛を訴えている。
午後問題4 初回訪問時のアセスメントで適切なのはどれか。
a.妻の介護量は増やせない。
b.生活範囲の拡大が必要である。
c.市販の機能訓練用具が必要である。
d.電動車椅子が必要である。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題5 自立度を高めるために必要な情報で優先度が低いのはどれか。
1.上下肢の筋力の程度
2.訪問看護に対する本人の期待
3.経済的状況
4.妻が介助できる範囲
午後問題6 機能訓練を行っていない理由は妻に負担をかけたくないためであることがわかった。
看護婦からの妻への提案で優先度が低いのはどれか。
1.ホームヘルパーの利用
2.医師の往診
3.理学療法士による訪問リハビリテーション
4.通所機能訓練
次の文を読み午後問題7~9に答えよ。
45歳の女性。姉と2人暮らし。子宮頸癌と診断されて余命1年と言われた。本人および姉は自宅で死を迎えたいという希望があり、かかりつけ医と訪問看護婦による在宅医療を受けている。現在は10か月が過ぎ、硫酸モルヒネ徐放錠40mg/日を服用中である。「薬は朝9時と夜9時に飲んでいるのに、痛みがとれなくて困っています。寝がえりをうつと腰の痛みが強くなるんです。それに食事があまり食べられなくて、便は5日に1回ぐらいです。痛みがなくなれば私はもっと外出したいの」と言う。
午後問題7 この時点でのアセスメントで誤っているのはどれか。
1.癌の浸潤が進んでいる。
2.鎮痛薬の使用量が不足している。
3.鎮痛薬の服用量を自己調節している。
4.鎮痛薬の副作用が出現している。
午後問題8 その後、痛みはコントロールされた。本人の外出希望について話し合ったとき、姉が外出時の病状の急変について不安を抱き始めた。
姉への援助で適切でないのはどれか。
1.姉に外出時の必要物品を説明する。
2.姉と外出の意義について話し合う。
3.看護婦が外出できる地理的な範囲を決める。
4.看護婦が外出に付き添うことを提案する。
午後問題9 次第に全身の衰弱が進み、3か月が経過した。夜間「呼吸が荒い」と緊急訪問の依頼の電話があった。
対応で適切でないのはどれか。
1.救急車を呼ぶよう勧める。
2.かかりつけ医に連絡するよう勧める。
3.そばに付き添っているよう勧める。
4.本人と姉に入院の希望を確認する。
次の文を読み午後問題10~12に答えよ。
55歳の男性。1か月前から食物がつかえて嘔吐するようになり、外来を受診した。内視鏡検査で噴門部の胃癌と診断され手術目的で入院した。入院時の所見で、顔色は蒼白でるいそうが著明であった。皮膚は乾燥していた。身長168cm。体重45kg。脈拍数100/分。呼吸数18/分。体温36.5℃。血圧110/82mmHg。赤血球292万/mm3、Hb7.8g/dl。患者は「手術がこわい」と言っている。
午後問題10 手術に向けての目標で優先度が低いのはどれか。
1.栄養状態の改善
2.貧血の改善
3.感染の予防
4.手術に対する不安の軽減
午後問題11 左開胸開腹胃全摘出術、食道空腸吻合術が行われた。術後5日から吃逆と腹痛とが出現し、37~38℃の発熱が認められた。嘔吐、咳嗽はなかった。左横隔膜下のドレーンから濃緑色の排液があった。
最も考えられるのはどれか。
1.肺 炎
2.縫合不全
3.膵液漏出
4.イレウス
午後問題12 症状が落ち着き、術後14日から食事が開始された。
この時期の食事指導で適切なのはどれか。
1.分割食にする。
2.満腹感を目安に1回摂取量を決める。
3.食直後は仰臥位安静にする。
4.食後の低血糖に注意する。
次の文を読み午後問題13~15に答えよ。
50歳の女性。10年前にC型肝炎と診断された後、定期受診を続けていた。最近食欲が低下し、全身倦怠感、腹部膨満感、便秘、下腿浮腫および皮膚そう痒感が生じたために外来受診した。血液検査の結果、肝機能低下が認められたので検査と肝庇護との目的で入院した。入院時の血液検査の結果はHb10.2g/dl、総蛋白5.0g/dl、総ビリルビン2.5mg/dl、アンモニア85μg/dl(基準48以下)、AST(GOT)305IU/L、ALT(GPT)203IU/L、γ‐GTP80IU/L、ALP400IU/Lであった。
午後問題13 図はこの患者の病態を示している。
1.胆道系酵素上昇
2.低蛋白血症
3.高ビリルビン血症
4.貧 血
午後問題14 日常生活指導で適切なのはどれか。
a.脂質の豊富な食事にする。
b.食後は安静臥床にする。
c.排便が毎日あるようにする。
d.皮膚を乾燥させる。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題15 腹水消失後、腹部エコー検査で発見された肝内の結節に対してエコーガイド下で肝生検が実施された。
検査後、当日の観察項目で優先度が低いのはどれか。
1.皮膚穿刺部からの出血
2.右季肋部痛
3.呼吸困難
4.尿潜血反応