93回看護師国家試験 午後問題31~45
次の文を読み午後問題31~33に答えよ。
75歳の女性。一人暮らし。脳梗塞後遺症で左上下肢の不全麻痺が残ったが、機能訓練の結果、利き手である右手で杖をつきながらの歩行が可能となり、自宅での生活ができると判断されたため、退院の検討が始まった。介護認定の調査は受けたが、まだ結果が出ていない。
午後問題31 この時点の退院調査として適切なのはどれか。
1.介護度が決定するまで入院を継続する。
2.短期入所サービスを勧める。
3.ケアプラン作成を介護支援専門員に依頼する。
4.転院できる介護療養型病床を探す。
午後問題32 退院後、訪問看護が開始された。
初回訪問時、最も重要視するのはどれか。
1.日常生活動作(ADL)
2.既往歴
3.家族背景
4.治療経過
午後問題33 今後予測される問題とその対応策との組合せで誤っているのはどれか。
1.転 倒 ――― 右側に立って歩行介助する。
2.便 秘 ――― 水分摂取を促す。
3.再梗塞 ――― 緊急通報サービスを利用する。
4.生活意欲の低下 ――― デイケアへの参加を促す。
次の文を読み午後問題34~36に答えよ。
59歳の男性。上腸間膜動脈血栓症のため小腸大量切除術のあと短腸症候群となり、在宅で中心静脈栄養法(IVH)を夜間間欠投与で実施することになった。看護師はガーゼ、輸液ポンプなどの必要物品とその入手方法を説明した。自営業の再開を目標に近日退院する予定である。
午後問題34 必要物品を提供し在宅中心静脈栄養法指導管理科の請求をするのはどれか。
1.医療機関
2.訪問看護ステーション
3.保険薬局
4.市町村役場
午後問題35 退院後、入浴時間にあわせて訪問し療養者の入浴手順を確認した。
正しい手順はどれか。
1.へパリンロック → カテーテル刺入部の消毒 → 入浴
2.カテーテル刺入部の消毒 → ヘパリンロック → 入浴
3.入浴 → カテーテル刺入部の消毒 → ヘパリンロック
4.へパリンロック → 入浴 → カテーテル刺入部の消毒
午後問題36 退院後1か月の中心静脈栄養法(IVH)の合併症と観察項目との組合せで適切なのはどれか。
1.静脈血栓症 ――― 輸液注入速度
2.栄養障害 ――― 上腕中央周囲径
3.気 胸 ――― 咳 嗽
4.必須脂肪酸欠乏症 ――― 体 重
次の文を読み午後問題37~39に答えよ。
78歳の男性。73歳の妻と二人暮らし。脳梗塞後遺症による嚥下障害のため経鼻胃チューブによる経管栄養を自宅で開始したが、誤嚥性肺炎による緊急入院を繰り返すため胃瘻を造設した。妻が退院指導を受け在宅療養が再開された。
午後問題37 経管栄養に関する妻への指導で適切なのはどれか。
1.胃瘻チューブ挿入部の観察は看護師に任せる。
2.流動食の注入後は湯ざましを2ml程度入れる。
3.流動食の注入後は仰臥位で休ませる。
4.むせたら流動食を中止する。
午後問題38 昨日からひどい下痢が続いていると妻から電話連絡を受けた。
妻に確認する項目で優先度が低いのはどれか。
1.注入速度
2.流動食の温度
3.注入中の体位
4.注入ボトルの洗浄方法
午後問題39 在宅療法が1か月経過したころから流涎が減少し舌の動きも改善がみられ、座位の保持時間が長くなった。妻や看護師と視線を合わせてうなずいたり、笑顔を見せるといった変化が現れた。「是非、口から食べさせたい」と妻が望んでいる。
妻への対応で適切なのはどれか。
1.「もうしばらく様子をみましょう。」
2.「また肺炎を起こすかもしれません。」
3.「ちゃんと飲み込めるか確認してみましょう。」
4.「お粥くらいなら食べていただいてもかまいません。」
次の文を読み午後問題40~42に答えよ。
64歳の男性。喫煙歴は40年間30本/日。2年前に肺気腫と診断され、以後禁煙し薬物療法を行っていた。平地でゆっくりなら50mくらい歩ける。1週間前から咳と痰が増え呼吸困難が増悪したため入院した。入院時脈拍数90/分、血圧128/84mmHg、呼吸数24/分、体温37.5℃、右下肺野に連続性ラ音が聴取される。胸部エックス線所見は肺野の透過性亢進と横隔膜低位、肺機能は1秒率52%である。動脈血ガス分析はpH7.33、動脈血酸素分圧(PaO2)65mmHg、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)50mmHg、息苦しさの訴えがあり食事も少量しか摂取していない。
午後問題40 入院時のアセスメントで正しいのはどれか。
1.ヒュージョーンズ分類Ⅱ度である。
2.肺炎である。
3.高炭酸ガス血症である。
4.肺性脳症である。
午後問題41 入院後、酸素吸入と抗菌薬による治療が開始された。しかし、体温38.4℃で、痰の量が増加した。呼吸困難は改善されず、動脈血酸素分圧(PaO2)48mmHg、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)64mmHgとなり、意識障害が出現した。
必要な処置はどれか。
1.右側臥位によるドレナージ
2.リザーバーマスクによる酸素吸入
3.人工呼吸器による呼吸管理
4.間欠的持続腸圧呼吸(IPPB)
午後問題42 呼吸状態が安定し、退院が予定されている。
生活指導で正しいのはどれか。
1.食事は少量ずつ数回摂取する。
2.入浴は時間をかける。
3.運動は階段昇降程度にする。
4.呼吸は胸式を心がける。
次の文を読み午後問題43~45に答えよ。
65歳の女性。数年前C型肝炎と診断され、食道静脈瘤も認められていた。2週前より腹部膨満感、尿量減少、倦怠感があり、肝硬変に伴う腹水コントロールの目的で入院した。身長152cm、体重52kg(通常時48kg)、最大腹囲97cm。入院時の血液検査の結果はHb9.1g/dl、アルブミン2.9g/dl、血中アンモニア127μg/dl、AST(GOT)60単位/L、ALT(GPT)27単位/L、総ビリルビン1.2mg/dl。尿量は800ml/日であった。ペットボトルのお茶をしきりに飲んでいる。
午後問題43 腹水貯留と関連があるのはどれか。
1.Hb9.1g/dl
2.アルブミン2.9g/dl
3.血中アンモニア127μg/dl
4.総ビリルビン1.2mg/dl
午後問題44 検査の結果、内視鏡的硬化療法が行われることになった。
目的はどれか。
1.癌化予防
2.狭窄予防
3.肝性脳症予防
4.出血予防
午後問題45 食事指導で適切なのはどれか。
1.塩分12g/日以内
2.蛋白質30g/日以内
3.摂取エネルギー量1,200kcal/日以内
4.水分摂取量1,000ml/日以内