93回看護師国家試験 午後問題46~60
次の文を読み午後問題46~48に答えよ。
34歳の女性。1か月前から倦怠感が徐々に強くなり、時々眩暈もあった。5日前から38℃以上の発熱が続き、倦怠感と歩行時のふらつきがあり受診した。血液検査および骨髄穿刺検査の結果、急性骨髄性白血病と診断された。診断名と科学療法の必要性が説明され、患者は急な入院に動揺しながらも治療に同意した。中心静脈栄養(IVH)カテーテルが挿入され、寛解導入療法が開始された。
午後問題46 治療開始前に把握しておく項目で優先度の高いのはどれか。
1.月経予定日
2.予防接種歴
3.ステロイド使用歴
4.平衡感覚
午後問題47 科学療法開始から1週後、白血球1,200/μl、血小板4.5万/μl、体温36.6℃、胸部エックス線写真上に異常陰影はない。
今後予測される状況で正しいのはどれか。
1.出血の危険性は低い。
2.脱毛が起こる可能性は低い。
3.感染症が発症する危険性は高い。
4.移植片対宿主病(GVHD)が起こる危険性は高い。
午後問題48 看護師が訪室すると「うがいをすると口の中がしみて痛い。体は相変わらずだるいし食欲もない。食べてないし、歩いてないのでますます弱ってしまう」と言う。
このときの患者への説明内容で適切なのはどれか。
1.嘔気が強ければ無理して食べなくてもよい。
2.化学療法が終了したら副作用は消失する。
3.院内の売店へは行ってよい。
4.倦怠感が強ければ含嗽はしなくてよい。
次の文を読み午後問題49~51に答えよ。
52歳の女性。フルタイムの販売員をしている。ある日仕事中に突然右眼の視力低下と視野欠損が起こり受診したところ、網膜剥離と診断され手術のため入院した。黄斑部の剥離はない。右眼視力=0.04、左眼視力=0.2。偏食(野菜を食べない)と便秘傾向がある。
午後問題49 医師からの病状および手術の説明を冷静な態度で聞いていたが、病室に戻ると「失明してしまう」「仕事ができなくなる」と言い落ち着きがなくなってきた。
対応で適切でないのはどれか。
1.説明内容の理解度を確認する。
2.視力は前より良くなると説明する。
3.仕事は続けられると話す。
4.医師の説明内容をわかりやすく説明する。
午後問題50 硝子体内に6フッ化硫黄(SF6)ガスを注入する手術が行われた。
術直後の体位で適切なのはどれか。
1.仰臥位
2.腹臥位
3.右側臥位
4.左側臥位
午後問題51 術後のケアで優先度の高いのはどれか。
a.身体の清潔
b.ストレス緩和
c.便秘の予防
d.会話の促進
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題52~54に答えよ。
63歳の男性。2年前から徐々に排尿困難を自覚するようになり受診した。検査の結果、前立腺特異抗原(PSA)8.0ng/mlで前立腺左葉に癌が認められたため根治的前立腺全摘除術目的で入院した。入院時の検査結果は、白血球6,400/μl、Hb11.6g/dl、血清総蛋白5.6g/dl、血圧は126/74mmHgであった。
午後問題52 術後に予測される症状で誤っているのはどれか。
1.勃起不全
2.血 尿
3.尿失禁
4.女性化乳房
午後問題53 入院後4日に根治的前立腺全摘除術が行われ、膀胱尿道吻合部にドレーンを2本、膀胱内留置カテーテルはバルーンの蒸留水30mlで留置された。術後2日の検査結果は、Hb10.2g/dl、CRP1.4mg/dl、血清総蛋白5.0g/dl、アルブミン2.4g/dlであり、歩行が開始された。
最も注意すべきことはどれか。
1.呼吸音
2.創部の状態
3.尿路感染
4.高血圧
午後問題54 術後4日、「手術してからずっと尿意が続いている。管を抜いてほしい」と訴えがあった。
対応で適切なのはどれか。
1.バルーンの蒸留水を10ml抜く。
2.カテーテルの再挿入を行う。
3.抜去できない理由を説明する。
4.カテーテルの絆創膏固定を外す。
次の文を読み午後問題55~57に答えよ。
73歳の女性。半年前に夫と死別し一人暮らし。一人娘は結婚し近くに住んでいる。最近、全身倦怠感や食欲不振、腰痛など体調不良の訴えがあり、心配した娘夫婦と一緒に受診したが、高血圧症を指摘された他に異常は認められなかった。その後も症状は改善せず、頭重感や便秘などが出現し、日中もボーッとして過ごすことが多くなった。また「朝早くに目が覚め、その後眠れないのでつらい。胸がどきどきするし、息苦しくてなにもできない。娘に心配をかけて申し訳ない」などの訴えが続くため入院した。
午後問題55 入院時のアセスメントで正しいのはどれか。
1.慢性退行状態である。
2.夜間せん妄がある。
3.錯乱状態である。
4.自律神経失調症がある。
午後問題56 抗うつ薬による治療が開始された。
副作用の観察で最も優先されるのはどれか。
1.体動時のふらつき
2.体重減少
3.胃部不快感
4.けいれん
午後問題57 午前4時ごろ覚醒し、病室から出て歩き回る様子がみられた。
このときの対応で適切なのはどれか。
1.就寝時間を遅くするように勧める。
2.睡眠薬の使用を医師と相談する。
3.ナースステーションで話を聴く。
4.病院の中庭の散歩を勧める。
次の文を読み午後問題58~60に答えよ。
75歳の男性。妻と息子夫婦、幼い孫と同居している。大腸癌の術後に肺転移を認め、入退院をくり返していた。自宅で最期を迎えたいと希望していたが、浮腫、息苦しさ及び全身倦怠感が著明となり入院した。入院時体温37.0℃、脈拍数100/分、呼吸数28/分、血圧100/72mmHg、血清総蛋白5.5g/dl、Hb8.0g/dl。
妻はほぼ毎日面会に来ている。患者は時折開眼し、家族の呼びかけにうなずいている。
午後問題58 入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
1.呼吸困難の増強
2.大量出血
3.誤 嚥
4.失見当識の出現
午後問題59 家族への対応で適切なのはどれか。
1.患者と死について話すことを避けるように説明する。
2.延命治療について家族で話し合うことを勧める。
3.看病疲れしないようにケアはすべて看護師が行う。
4.孫は面会ができないことを話す。
午後問題60 患者に下顎呼吸が始まった。
このときの家族への対応で適切なのはどれか。
1.死期が近いことを説明する。
2.自宅で最期を迎えることを勧める。
3.話しかけても聞こえないことを説明する。
4.処置時は室外に出てもらう。