95回看護師国家試験 午後問題46~60
次の文を読み午後問題46~48に答えよ。
64歳の男性。最近仕事上のストレスが続き、疲労感を訴えていた。1~2か月前から食事のつかえ感があり、体重が2か月で10kg減少したため受診した。検査の結果、胸部食道癌と診断された。検査所見は、Hb9.5g/dl、血清総蛋白5.4g/dl、アルブミン2.5g/dl、AST(GOT)24単位/L、尿素窒素18mg/dl、プロトロンビン時間10秒。手術目的で入院した。
午後問題46 手術前の身体的リスクが最も高いのはどれか。
1.低栄養状態
2.肝機能障害
3.腎機能障害
4.出血傾向
午後問題47 右開胸開腹胸部食道全摘術と胃を用いた食道再建術が行われた。術後、人工呼吸器が装着され、術後2日朝に気管チューブを抜管した。創部痛のため痰の喀出が少なかった。その日の夕方、患者は呼吸困難を訴え、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が93%に低下した。右下肺野で肺雑音を聴取したが、胸郭の動きに左右差はなかった。
患者に起こっていると考えられるのはどれか。
1.右肺気胸
2.食道気管支瘻
3.無気肺
4.縦隔炎
午後問題48 術後14日、五分粥食を摂取しているが、嗄声があり、時々食事中にむせている。
食事指導で適切なのはどれか。
1.水分で流し込みながら食べる。
2.固形物摂取を一時控える。
3.食後は仰臥位で過ごす。
4.一口ずつゆっくり食べる。
次の文を読み午後問題49~51に答えよ。
Aさん、26歳の女性。夫、3歳と生後6か月の子どもとの4人家族で、現在授乳中である。頸部腫大に気付き近医を受診したところ、甲状腺機能亢進症と診断された。
午後問題49 出現している可能性が高いのはどれか。
1.日中の眠気
2.満月様顔貌
3.末端肥大
4.易疲労感
午後問題50 甲状腺アイソトープ(123I)摂取率検査を受けることになった。
検査前の説明で正しいのはどれか。
1.検査前後3日間は子どもを抱っこできない。
2.検査中は搾乳によって母乳を続けることができる。
3.検査の1週前から海藻類の摂取を避ける。
4.検査前にヨード剤で含嗽を行う。
午後問題51 3歳の子どもが風邪をひいたのをきっかけに、Aさんも40℃の発熱、頻脈、嘔気、嘔吐、下痢、呼吸困難を起こし、救急車で来院した。意識レベルの低下もみられる。
最も考えられるのはどれか。
1.テタニー
2.クリーゼ
3.代謝性アルカローシス
4.CO2ナルコーシス
次の文を読み午後問題52~54に答えよ。
28歳の女性。会社員(経理係)。最近手指の関節に痛みを感じるようになったが、腱鞘炎と思い湿布薬やマッサージで様子を見ていた。しかし、徐々に肘関節に痛みとこわばりが出現し、微熱と全身倦怠感もみられるようになった。医師から「関節が少し腫れているようですね。診断のため血液検査をいくつかしましょう」と言われ、外来通院することになった。
午後問題52 診断に役立つのはどれか。
1.C反応性蛋白(CRP)
2.αフェトプロテイン(AFP)
3.ヒト白血球抗原(HLA)
4.ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
午後問題53 薬物療法でしばらく様子をみることになった。
生活指導で適切なのはどれか。
1.関節を保温する。
2.部屋の湿度を高く保つ。
3.低カルシウム食を心掛ける。
4.寝具は柔らかいマットレスを使用する。
午後問題54 手関節と肘関節の痛みが増強し、食材の買い物が負担になってきた。
荷物の持ち方で適切なのはどれか。
次の文を読み午後問題55~57に答えよ。
76歳の女性。夫と2人暮らし。毎朝散歩し、週2回趣味の会に外出していた。散歩中にしりもちをつき、殿部から腰背部にかけて痛みがあったが放置していた。2週前から痛みのため徐々に布団から1人で起き上がれなくなり、夫の介助でトイレに行くが、ふらつくようになった。5日前から、1日中臥床するようになった。市販の弁当と緑茶で食事を済ませていた。
夫の介助で受診し入院した。検査の結果、骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折と診断され、鎮痛薬とコルセットが処方された。
午後問題55 入院時のアセスメントで最も適切なのはどれか。
1.嚥下困難がある。
2.筋力の低下がある。
3.関節の強直がある。
4.痛みは我慢できる程度である。
午後問題56 コルセットをつけて病室内を歩くようになった。
適切なのはどれか。
1.ゆっくりとした歩行を勧める。
2.痛みが強いときはきつく締め歩行する。
3.腹部を圧迫するので食事の量を控えめにする。
4.就寝中も装着するように勧める。
午後問題57 順調に経過し退院が決まった。
退院時の生活指導で適切なのはどれか。
1.肉類中心の食事を勧める。
2.布団は軟らかいものを使用する。
3.痛みが消失してもコルセットの使用を継続する。
4.散歩や趣味の会への外出を勧める。
次の文を読み午後問題58~60に答えよ。
78歳の男性。自宅で突然倒れ救急車で来院した。体温36.5℃、呼吸数14/分、脈拍数80/分、血圧180/100mmHg、ジャパン・コーマ・スケールⅢ‐100であった。検査の結果、右中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、保存療法を行うことになった。
午後問題58 意識レベルを判断したときの患者の状態はどれか。
1.声かけすると覚醒する。
2.呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する。
3.痛み刺激で払いのける動作がみられるが、開眼しない。
4.痛み刺激に反応しない。
午後問題59 入院後、意識状態は改善し、車椅子でトイレでの排泄が可能になったころから、左肩関節の熱感と痛みを訴え始めた。
対応で適切なのはどれか。
1.関節可動域訓練を積極的に行う。
2.三角巾で固定する。
3.温罨法を行う。
4.ベッド上安静にする。
午後問題60 1か月後歩行可能になったが、身体の片側を壁や扉にぶつけるようになった。廊下で看護師とすれ違っても気付かないことがある。
どのような異常が生じていると考えられるか。
1.半側空間無視
2.失行
3.見当識障害
4.記憶障害